国立大学の独立行政法人化に反対する声明

 日本の国立大学は、学問の自由を基盤に、基礎的で長期的な展望をもって研究・ 教育に取り組み、国民の高等教育を受ける権利を保障する役割を担ってきた。
 ところが、政府は国家公務員の25%定員削減をはじめとする財政の効率化を目的 とした「行政改革」の一環として、国立大学制度を改悪し、独立行政法人化を進め ようとしている。他の国立研究所などに適用される「通則法」によれば、独立行政 法人に対して、文部科学大臣による3〜5年間の中期目標の指示、中期計画の認可 、文部科学省に置かれる評価委員会による効率の観点からの実績評価と文部科学大 臣による検討が行われる。このような枠組みが大学に組み込まれるならば、大学は その成績次第で研究費が増減されるだけでなく、大学そのものの改廃すらおこなわ れる可能性がある。短期的な効率に基づく大学の財政誘導は、憲法に保障されてい る学問の自由に反しており、研究・教育を主務とする大学の取るべき姿とは相容れ ない。
 地球科学をはじめとする基礎科学の研究や教育に、経営的な効率を重視する安易 な評価はなじまない。地球科学は、野外調査や観測などによる地道なデータの蓄積 から始まる学問である。このような基礎的分野の研究は、短期間で成果をえられる 学問ではなく、3〜5年という尺度では研究の評価は図り得ない。しかし、中期計 画とその実績評価によって、研究者や大学は、研究費の資金獲得や生き残りのため の競争に走らざるを得なくなる。その結果として,地球科学などの長期的視野にた った学問研究がないがしろにされかねない。
 国立大学の大半を占める地方国立大学は、地域の学問・教育・文化・産業の拠点 として貢献してきた。しかし、効率のみを重視した評価の導入により、大学として の地域への貢献は軽視されるどころか消滅しかねない。また,経済性重視の考え方 は、授業料の格差を生じさせ、国民の等しく教育を受ける権利を保障できなくなる ことが懸念される。
 このように、国立大学の独立行政法人化は、国民の立場にたった教育・研究を破 壊し、国民の高等教育を受ける権利を侵害する、許しがたい暴挙である。
 創立以来、学問の自由を守り、「国民のための科学」を求めて、地域に根ざした 活動を行ってきた地学団体研究会は、国立大学の独立行政法人化に強く反対する。

                              2000年11月11日
                         地学団体研究会第54回総会

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