第55回地学団体研究会総会決議その1

「「大学の構造改革の方針」に反対する」決議



「「大学の構造改革の方針」に反対する」決議

 国立大学独立行政法人化(独法化)計画に関しては、6月に発表された文部科学省による「大学(国立大学)の構造改革の方針」(いわゆる「遠山プラン」)の強要に伴い、新しい重大な局面にはいった。この「大学の構造改革の方針」は、「大学を起点とする日本経済活性化のための構造改革プラン」とともに、1)国立大学の再編、統合を大胆に進め、2)独立行政法人化を超えた民営化の導入、3)第三者機関の評価に基づく選別を行おうとするものである。そして、国公私立大学の研究分野ごとの「トップ30」に対してのみ重点的に投資して、それらを新産業創出機関へと変化させ、残りの大学は、民営化や地方移管を目指すとみられる。これは、小泉内閣の「痛みを伴う改革」という経済政策に大学を従属させるものである。
 もしこの「大学の構造改革の方針」が遂行されるならば、地方に貢献してきた地方国立大学の切り捨てにつながる。特に、見過ごすことが出来ないのは、この計画が地域を拠点とした大学における研究・教育を著しく困難にする可能性が高いことである。基礎科学に属する地球科学関連分野は直ちには新産業に結びつきにくく、予算配分等で圧迫を受けることが懸念される。とりわけ、地球科学関連の研究は、地震や火山研究を例にとってもわかるように、全国に満遍なく分散する大学、研究機関が各地域ごとに分担しあう共同協力によって、全国をカバーする研究が成り立っている。国立大学の統合再編・規模の縮小によって独法化・民営化された場合には、地域の調査・観測・研究を担ってきた大学や諸研究施設が切り捨てられ、こうした地道な全国をカバーする研究が成り立たなくなる。
 一方、「トップ30」以外の大多数の大学における研究・教育の弱体化は、初等中等教育、社会教育分野にも深刻な影響をもたらすことは必至である。特に1県1教員養成系大学・学部の統廃合は、地域の特性に精通した小・中学校教員の養成が困難になり、さらには博物館学芸員や社会教育に貢献する人材の育成に大きく影響を与えることにもなる。
 21世紀の資源問題、有珠山・三宅島の噴火や地震などのさまざまな自然災害や環境問題に直面して、地球科学がますます重要になることは、既に多くの国民が感じ、指摘しているところである。もし、短期的な経済政策、それも試行錯誤の域を出ない政策に大学を従属させるならば、地球科学関連の研究・教育が弱体化することは避けられず、後世の日本社会全体に深刻な打撃を与えるであろう。こうした現実的危険性が想定される以上、本会は、文部科学省による「大学の構造改革の方針」に強く反対するとともに、同計画遂行を保証する独法化に改めて反対する意思を表明するものである。
 以上決議する。

2001年8月4日
地学団体研究会第55回総会



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Updated: 2001/08/09
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