『コウモリ病  〜15年目における最近の動向〜』
高橋大介










はじめに

 最近、15年前の大学生の手による文献(卒業記念文集ほくしん)をみる機会があった。そこでは、かつての生活やその問題点、思想に触れることができた。そして、そのなかで「コウモリ病」という記述があり、現代の現状にかなりあてはまる点があり興味深く、ここに「コウモリ病」の研究を始めるものとしたのである。

1.定義

 「コウモリ病」の語源は、大野(1980)の解説にある「昼と夜が逆になる」という表現によるものと考えられる。しかし、最近の事例ではただ逆になるだけではなく、その症状はさらに多角化しつつあり、以前の内容をふまえてコウモリ病を概略的に定義すると、「特異的環境下において、過度の生活時間体系の変則的状態が長期間に及び、その時間体系が深く生活と密着して、さらに外界に対する関心が低下する病的状態」といえる。
 「コウモリ病」と認定される観点としては、特に客観的に不規則な生活があげられるが、詳しいことは次の章において述べたい。

2、発病から回復まで

 1980年の報告と同様に発病しやすい年代は、20歳前後の2年間であると言える。また、当時から登校拒否を伴っていたと報告されている。そのため、多くの単位を失うことがある。発病に関して、大野(1980)はウイルス説をとなえている。現在では、その説によると、感染経路として、マージャン、スーパーフアミコンなどの娯楽、アルバイト先などが考えられる。 また、アルコールの摂取により、一時的に感染し症状が見られることもある。治療方法は見つかっていないが、コウモリ病は自然に程度が軽くなるとみられる。また、概して4月の第1週から第3週までと学期末に治る傾向があるようだが、完治した事例の報告はすくない。
 発病年代と無気力な症状の類似性から、精神分裂病の一つである破爪病との関連が考えられるが、時として活動的な面(娯楽や宴会等)を示す点において異なると言える。
 コウモリ病に関して、いまだ有効な治療手段は明らかではない。また、治療成功例の報告も未だない。

3. 数値的解析とまとめ

 コウモリ病の程度の度合(Db)を式で表わすと次のようになると考えられる。値が大きい程重度である。
 Db=(ds*lc^2)/(gc+lc)
  ただし、ds=|ss1−ss2|+|es1−es2|
       ss1:一般人の睡眠開始時間(単位は、分)
       ss2:患者の  //
       es1:一般人の睡眠終了時間
       es2:患者の  //
       gc :一年間に得た単位数
       lc :一年間に失った単位数
 ここでの睡眠とは、一日のうち一番長く眠ったものを示し、その平均的な数値を扱う。(ss1,es1は、任意の定数)
 この式の説明をすると、時間の変則的数値を睡眠で示し、気力の結果論的度合を単位で示した。この式では、変数の変化が読み取りにくいので、単位を短期間の出席数などに置き換えることなどの補正が望まれる。また、この式に基ずく実際値のレベル分けは、今後の研究に期待したい。

参考文献
 卒業記念文集ほくしん (1980) 大野他
 岩波心理学小辞典(1993) 宮城編



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